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ドローンの安全性を確保!ドローン専用パラシュートの仕組みや事例を詳しく解説!
ドローン配送や空飛ぶクルマなど、将来的にさまざまな場所での活躍が期待されるドローン。
しかし、人の上を飛び回る中で安全性に対する懸念の声も大きくなっています。
そこで期待されているのが、ドローンに搭載するパラシュートです。
今回はドローンに搭載するパラシュートについて解説します。
ドローンに搭載するパラシュートとは?
ドローンにパラシュートを搭載すると、機体の落下速度を抑えることで、着地時の衝撃を緩和できます。
衝撃を緩和することで、機体の損傷を最小限に抑える事ができ、修理やメンテナンスにかかるコストや時間を抑えることができます。
また配送業や点検など、ドローンを活用する幅が広がり、レベル4飛行と呼ばれる有人上空での目視外飛行を実用化する中で、安全性を確保するための装置となります。
実際に行われたドローン用パラシュートの実証実験の動画があるので、下記を参考にしてみてください。
「産業用ドローン向け緊急パラシュート 実験映像(PARASAFE)」
ドローンのパラシュートが作動する仕組み
引用:https://www-v1.dji.com/jp/dropsafe.html
ドローンに搭載したパラシュートが作動する流れは以下の通りです。
①発生した異常を検知する
②パラシュートを展開する(自動/手動)
③低速降下しながら安全に着地する
モーターの故障などでドローンに異常が発生すると、機体の傾きなどをセンサーが検知して、異常の発生を知らせます。
異常を検知したら、手動または自動でパラシュートが展開し、落下速度を緩和することで、安全な着地を可能にします。
ドローンのパラシュートの必要性
ドローンのパラシュートの必要性を解説します。
主なポイントとしては以下の5点が挙げられます。
①レベル4飛行(有人上空かつ目視外飛行)の安全性を向上
②配送ドローンや空飛ぶクルマの運用に必須
③落下の衝撃を緩和して機体の破損を抑える
④パラシュート+エアバッグで安全性をさらに向上できる
⑤パラシュートを取り付けた荷物を投下する利用法もある
では、1つずつ詳しくみていきましょう。
①レベル4飛行(有人上空かつ目視外飛行)の安全性を向上
2022年12月の航空法改正によってレベル4飛行(有人上空かつ目視外飛行)が解禁されました。
人の少ない山間地域や離島で配送ドローンが使用されたり、さまざまな用途で市街地をドローンが飛んだりする未来も近づいています。
そんな中で、懸念されているのが、ドローンの落下によるリスクです。
人や物に衝突して大事故を招くリスクもあるため、その対策としてドローン用パラシュートの搭載が求められています。
②配送ドローンや空飛ぶクルマの運用に必須
将来的には配送用ドローンが各地で飛び回り、人を乗せた「空飛ぶクルマ」の実用化も進められるため、ますますドローン用パラシュートの重要性が高まります。
安全性を確保し、事故のリスクを抑えるためにも、パラシュートの搭載は必須です。
③落下の衝撃を緩和して機体の破損を抑える
パラシュートを使うことで、落下の衝撃を緩和して、機体の破損を抑えられます。
上空からそのまま落下すると、かなりの速度で地面と衝突するため、ほぼ間違いなく機体は破損します。
パラシュートを使えば、落下速度を緩和するので、機体の破損をできるだけ防ぐ形で着地できます。
④パラシュート+エアバッグで安全性をさらに向上できる
ドローン用パラシュートを開発している「日本化薬」では、パラシュートに加えて、機体に取り付けるエアバッグも開発しています。
パラシュートだけでは、落下速度の緩和は可能なのですが、着地時に地面との衝撃で機体が破損する可能性があります。
そのため、エアバッグで機体の下部を覆うことで、落下時の衝撃を大きく低減し、機体の破損を防止できます。
また、落下した機体が人や物にぶつかって損害を招く危険性も下げられます。
⑤パラシュートを取り付けた荷物を投下する利用法もある
ドローン用のパラシュートは期待に取り付けるだけでなく、ドローンに積載した荷物に取り付けるパターンもあります。
荷物をドローンで運ぶ「ドローン配送」において、パラシュート付きの荷物を上空から落下させることで、効率的かつ安全な配送を実現します。
「ドローンで100km先へ「鬼鯖鮨」配達…1時間かけ移動、上空からパラシュート付きの箱」
従来のドローン配送では、送り先に荷物を届けるたびにドローンを着地させなければならないため、効率性が低く、山間部などでは安全に着地できる場所に限りがあるなど課題が多くありました。
荷物にパラシュートを取り付けることで、目的地で安全に荷物を落下させられるため、ドローン配送の幅が広げられます。
国内初のドローン用パラシュート「PARASAFE」
「PARASAFE」は、日本化薬が開発した国内初のドローン用パラシュートです。
ドローンの異常を自動的に検知することで、パラシュートを展開させ、安全な落下をアシストします。
日本化薬では、2種類のパラシュートを開発しており、主なスペックは以下の通りです。
項目 | PS CA12-01 | PS CA06-01 |
サイズ | Φ130×H154mm | ー |
本体重量 | 1kg | ー |
最大離陸総重量 | 25kg | 15kg |
パラシュート面積 | 11㎡ | 6㎡ |
降下速度 | 6m/s | 7m/s |
最低展開高度 | 30m | ー |
公式サイト | 「PARASAFE」 |
①ATS(自動トリガーシステム)で異常を自動的に検知する
PARASAFEには、ATS(自動トリガーシステム)が搭載されており、ドローンの飛行に異常が生じた際に自動的に検知してくれます。
ドローンの推力が失われた時や機体が傾いた時、異常な速度で下降した時など、さまざまなタイプの異常を検知して、パラシュートを展開するタイミングを知らせてくれます。
②数多くの実証実験で信頼性を向上
PARASAFEは、さまざまな状況での実証実験を行うことで、信頼性を高めています。
ホバリング中にドローンの全電源がシャットアウトした状況や、フルスピードで前進中にモーターが停止した状況など、幅広いシチュエーションで実験を行っています。
③新しい製品やサービスも開発中
日本化薬では、パラシュートに加えて、落下時の機体を保護するエアバッグの開発も進めています。
エアバッグを搭載すれば、着地時の衝撃を緩和できるため、機体の破損を最小限に防げます。
また、落下時に機体が人や物に衝突したとしても、エアバッグが衝撃を緩和するため、深刻な事故が起きるのを防げます。
DJIはパラシュート搭載のドローン「FLYCART 30」を開発
DJIでは、パラシュートを搭載した配送用ドローンを開発しています。
最大30kgの荷物を輸送できるドローンで、パラシュートを搭載することで、緊急時でも安全な落下を可能とします。
大型の荷物を運ぶ際でも、パラシュートを搭載しておけば、落下時の被害を最小限に抑えられるでしょう。
重量 | 65 kg |
最大離陸重量 | 95 kg |
サイズ | 2800×3085×947 mm |
飛行時間 | 18分 |
障害物回避 | 前方/後方/上方 |
カメラ解像度 | 1920×1440 |
パラシュート荷重 | 95kg |
パラシュートサイズ | 300×200×120 mm |
展開時間 | 約1000 ms |
降下速度 | ≤ 6 m/s |
最低展開高度 | 60m |
ドローン用パラシュートが使用された事例
ドローン用のパラシュートは各地で実証実験が行われています。
ここでは、ドローン用パラシュートが使用された事例を紹介します。
①水上太陽光発電所の点検用ドローンにパラシュートが使用される
使用が検討されている業種の1つに点検業務が挙げられており、特に水上太陽光発電所や洋上風力発電所でのドローン点検にパラシュートが使用されています。
「水上太陽光の点検用ドローン、落下時にパラシュートで水没防ぐ」
上記で使用されたパラシュートは、ドローンが落下した際の衝撃を緩和しながら、水に浮く機能を搭載することで、機体の回収を容易にしています。
②パラシュートとエアバッグの実証実験も行われる
広島県の府中市では、ドローンにパラシュートとエアバッグを搭載して落下させる実証実験を行いました。
パラシュートによって落下速度を緩和するだけでなく、エアバッグを展開することで機体の破損を防ぎます。
山間部でのドローン配送は今後さらなる需要増加が考えられるため、安全性向上のためパラシュートとエアバッグの存在は重要です。
「輸送用ドローン 上空でモーター止まったら…パラシュートで緊急降下 安全装置の実証実験 広島・府中市」
ドローンにパラシュートを使う時の注意点
ドローンにパラシュートを使う時の注意点は以下の2点です。
①風に流されやすい
②高さのある場所で展開しないといけない
まだまだ新しい仕組みなので、注意点を把握した上で使用しなければなりません。
①風に流されやすい
パラシュートを展開すると、機体が風で流されやすくなるので注意が必要です。
ドローンが制御不能になると、パラシュートで落下速度は緩和できますが、風が強いと流されてしまい、人や物に衝突する可能性があります。
落下地点の予測も困難になるため、使用の際は風の強さに警戒しなければなりません。
②高さのある場所で展開しないといけない
ドローンに搭載したパラシュートを展開して機能させるためには、ある程度の高度が必要です。
例えば、PARASAFEでは、パラシュートを展開させるのに必要な高度を30mと設定しています。
パラシュートを展開する高度が低すぎると、機体の落下速度を十分に減速させる前に、地面に衝突してしまうため、機体の破損を防げません。
そのため、ドローンでパラシュートを使う場合は、30m以上の高度で飛行させる必要があります。
ドローンのパラシュートに関するよくある質問
ドローンのパラシュートに関するよくある質問をまとめました。
ここまでの内容で疑問が思い浮かんだ人は参考にしてみてください。
①ドローンへのパラシュート搭載は義務化されている?
ドローンへのパラシュート搭載は義務化されていません。(2024年5月時点)
ただし、今後レベル4飛行が実用化される中で、市街地をドローンが飛び回る社会になった場合には、ドローンへのパラシュート搭載が求められる可能性も考えられます。
②パラシュートがあれば墜落しても機体の破損を防げる?
パラシュートを使うことで機体の落下速度を抑えることは可能ですが、落ち方によっては破損する可能性はあります。
また、パラシュート展開時の風向きによっては、地面だけでなく、建物などに衝突して破損するケースも考えられるでしょう。
ドローン用パラシュートを手がけている企業では、パラシュートに加えて、落下時の機体を守るエアバッグも開発されています。
③パラシュートが展開するとどれぐらいの速度で落下する
現在流通しているドローン用パラシュートの展開時の落下速度は以下のようになっています。
PS CA12-01 | 6m/s |
PS CA06-01 | 7m/s |
DJI FLYCART 30 | 6m/s |
④パラシュートの作動から展開までどれぐらいかかる?
パラシュートが作動してから展開までにかかる時間は以下のようになっています。
また、最低展開高度は以下の通りです。
機種 | 展開時間 | 最低展開高度 |
PS CA12-01 | 不明 | 30m |
PS CA06-01 | 不明 | ー |
DJI FLYCART 30 | 約1000 ms | 60m |
まとめ
ドローンに搭載するパラシュートについて解説しました。
将来的にドローンが市街地で飛び回る未来を考えると、落下時の安全性を確保するためにも、パラシュートの重要性は高まるでしょう。
ドローン配送や空飛ぶクルマなど、ドローンの社会的な価値が高まる中で、安全性に関するテクノロジーも進化しています。
安全なドローン社会の確立に向けて重要な存在にもなるパラシュートについて注目してみてください。
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