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災害時のドローン活用について解説!活用事例・メリット・課題を紹介
ドローンが災害時の対応に活用されていることをご存じだったでしょうか。
様々な分野で活躍するドローンですが、小回りが効いて柔軟な飛行ができる特性によって、災害時のさまざまな場面で貢献をしています。
災害の多い国だからこそテクノロジーの力を活用して被害を最小限に抑えられるよう、自治体などを中心に積極的な取り組みも行われています。
そこで今回は災害時のドローン活用について解説していきます。
災害時にドローンを活用するメリットや課題、活用事例について詳しくみていきましょう。
災害時にドローンを活用するメリット
災害時にドローンを活用するメリットとしては以下の5つが挙げられます。
①迅速な対応ができる
②被災状況に左右されにくい
③広範で詳細な情報が集められる
④救援者のリスクを軽減する
⑤少人数かつ低コストで活動ができる
では、1つずつ詳しく見ていきましょう。
迅速な対応ができる
ドローンは迅速に活動ができるため、スピードが重要な災害対応において大きなメリットを発揮します。
ヘリコプターなどの有人航空機だと出動までに時間がかかるため、捜索や救助が間に合わない可能性が生じます。
ドローンであれば飛行までの準備が少なく、飛行速度も速いため迅速に対応することができます。
被災状況に左右されにくい
ドローンは災害発生時に上空から被災状況を確認したり、被災者の捜索をしたりするため、被災状況に左右されにくいという特性があります。
ヘリコプターを使う場合は離着陸のための広い土地が必要で、被災状況によっては使えないケースもあるでしょう。
救助困難地域と呼ばれる場所でも安全にドローンを飛ばすことができるため、二次災害の危険があるようなケースでも活動ができます。
人が入れないような場所でも入っていくことができ、創作や情報の収集ができる幅が広がります。
広範で詳細な情報が集められる
ドローンに搭載したカメラや赤外線センサーによって、被災地周辺の広範かつ詳細な情報を収集することができます。
被災地の状況を3Dで測量したり、現場近くを飛行することで状況を細かく確認したりなどの作業を効率的に行えます。
より効率的な情報収集ができれば、現場での被災者の捜索や救助も迅速に行えるでしょう。
救援者のリスクを軽減する
災害時にドローンによって被災地の状況を確認したり、被災者の捜索や救助を行ったりすることで、実際に救助を行う人のリスクを軽減することができます。
現場での詳細な情報を収集しておけば、想定されるリスクを念頭に置いた上での災害活動が可能になり、救援者が二次災害に巻き込まれるのを防げるでしょう。
また、人が入れないような場所でもドローンを使うことができるため、ドローンが危険を肩代わりしながら、より効果的な災害活動を実現してくれます。
少人数かつ低コストで活動ができる
“ドローンを積極的に導入することで災害活動にかかるコストを抑えらる”というメリットがあります。
ヘリコプターなどの有人航空機を導入したり、人による捜索や救助をしたりするよりも費用を安く抑えられるため、災害対策に十分なリソースを割くことができるでしょう。
災害におけるドローンの活用方法
災害時にドローンがどのような形で活用されるのかを解説していきます。
主な用途としては以下の4つが挙げられます。
①被災状況の確認
②被災者の捜索/救助
③情報の収集
④物資の運搬
では、代表的な活用方法について詳しくみていきましょう。
被災状況の確認
災害発生時にドローンを飛行させて搭載されたカメラで現場を撮影することで、被災状況を素早く確認することができます。
撮影した映像を即時に送信して、映像を確認しながら被災状況や二次災害の可能性などの判断もできるでしょう。
ドローンの強みである小回りの良さや機動力を活かせば、短い時間で広範囲の被害状況を確認できるため、
効率の良い災害対応や計画の策定ができるでしょう。
被災者の捜索/救助
ドローンに搭載したカメラや赤外線センサーを使うことで、被災現場での捜索や救助活動ができるようになります。
ドローンによる広範囲かつ素早い捜索を行うことで逃げ遅れた被災者を即座に発見して、救援者との連携を取ることで1秒でも早い救助を行うことができます。
被災者が瓦礫などに埋もれていた場合でも、赤外線カメラを使えばしっかりと発見することもできるでしょう。
さらに、人が入っていくのが危険な箇所においても、ドローンを使った救助活動を行うことで救援者のリスクを軽減できます。
例えば、火災が発生した現場にドローンから消火剤を散布したり、水害時に溺れている被災者にロープや浮き輪を届けたりなど対応の幅が広くなります。
情報の収集
災害が発生した際にドローンで周辺を撮影しながらデータを収集することで、ハザードマップを作成したり、安全管理のための計画策定をしたりといった使い方ができます。
現場を俯瞰しながら撮影を行い、3D測量を行うことで迅速に災害現場の地図を作成することで、救助や復興活動もスムーズに進められるでしょう。
物資の運搬
ドローンには物資を運搬するという使い方もできるため、被災地に対して救援物資を届けることもできます。
陸路が遮断されて車やトラックなどが入れない場所であっても、ドローンであれば必要な物資を安定して届けることができます。
ドローンの積載重量についても年々向上しており、強みである小回りの良さや機動力を維持しつつも、運搬性能はさらに飛躍していくでしょう。
その他にも、医薬品や輸血用の血液などを迅速に届ける上でもドローンの機敏さが役に立ちます。
災害時のドローン活用事例を紹介
ドローンは既に実際に発生した災害現場で活用されています。
直近の活用事例としては主に以下の4つが挙げられます。
①熱海市土石流災害(2021年)
②台風19号(2019年)
③九州北部豪雨(2017年)
④熊本地震(2016年)
では、どのような用途で活用されたのか詳しく見ていきましょう。
熱海市土石流災害(2021年)
2021年に発生した熱海市土石流災害では以下のような用途でドローンが活用されました。
・被災状況の確認(道路、被災地、建造物、通信線)
・被災範囲の確認
・行方不明者の捜索
・被災後の処理状況の把握、進捗確認
・共通状況図、3D図の作成・公開
これまでのさまざまな活用事例を元に幅広い用途での災害活動でドローンが使われました。
ドローンの空撮映像を元にハザードマップを作成することにも成功しており、救助や避難活動において大いに貢献しています。
台風19号(2019年)
2019年に発生した台風19号では以下のような用途でドローンが活用されました。
・被災状況の確認(道路、被災地、建造物、通信線)
・被災範囲の確認
・行方不明者の捜索
・被災後の処理状況の把握、進捗確認
・物資の運搬
・共通状況図の作成・公開
こちらの活用事例では、ドローンの災害活動において孤立した限界集落への物資の運搬が行われました。
自立飛行による物資の運搬が実現されたことで、今後の災害対策においても大きな意義を持つ実績となっています。
九州北部豪雨(2017年)
2017年の九州北部豪雨では以下のような用途でドローンが活用されました。
・被災状況の確認(道路、被災地、建造物)
・被災範囲の確認
・行方不明者の捜索
・被災後の処理状況の把握、進捗確認
・共通状況図の作成・公開
被災地や被災範囲の確認を行うことで常にリアルタイムで情報を収集することができました。
人が立ち入れない場所でもドローンを飛ばすことで被災地の状況を把握して、交通規制や避難場所への案内などに役立てられています。
さらに、行方不明者の捜索活動にも活用され、ドローンによって迅速な初動対応ができた事例と言えるでしょう。
熊本地震(2016年)
2016年に発生した熊本地震では以下のような用途でドローンが活用されました。
・被災状況の確認(道路、被災地、建造物、通信線)
・被災範囲の確認
・被災後の処理状況の把握、進捗確認
主に被災地の空撮によって、被災状況や被災範囲の確認や状況処理の把握などに使われています。
しかし、ドローンの用途としては限定的で、災害時に関係各所と連携をしながらの活用などに課題も生じました。
災害でドローンを活用するための課題
災害時での活用が期待されるドローンではありますが、課題もいくつか存在します。
今後解決が望まれる課題としては以下の5つです。
①運搬量に限りがある
②バッテリー容量(飛行時間)に限りがある
③電波の到達圏内でしか活動できない
④天候(雨や強風)に左右されやすい
⑤操縦パイロットの育成が必要
きちんと課題にも着目しながら今後のドローンによる災害活動について理解してみてください。
運搬量に限りがある
ドローンは機体が小さいため積載ができる量に限りがあり、大型の物資を運搬することができません。
小型の物資であれば迅速に届けられるのですが、一度に大量の物資を運ぶことはできないので、避難所などへの食料品などの運搬には不向きかもしれません。
医薬品などの軽量かつ少量な物資であれば運搬に向いているので、物資の運搬については限定的な用途に収まる可能性もあるでしょう。
ただ、ドローンの性能向上で積載重量が大きくなっていくため、徐々に解決に向かっていく問題でもあります。
バッテリー容量(飛行時間)に限りがある
ドローンの飛行時間はバッテリーの容量によって決められており、基本的に長時間の飛行はできません。
そのため、さまざまな用途で災害活動を行う場合に、実用上の問題が発生する可能性があるでしょう。
もちろん性能の向上によって、飛行時間の長時間化が実現されるとは考えられますが、現状としては不十分な状態と言えるでしょう。
電波の到達圏内でしか活動できない
ドローンは電波で操縦するため電波が届く範囲でのみ活動でき、近年では何キロにも及ぶ範囲で飛行が出来ます。しかし、電波を遮る状態などがあると飛行が困難になるケースもあります。
天候(雨や強風)に左右されやすい
ドローンは風や雨などの天候に左右されやすく、状態によっては飛行が困難になるケースもあります。
天候によって飛行が困難な場合、台風や大雨といった災害に対して活躍が難しい可能性もあるでしょう。
ドローンの飛行の可否については以下のような基準があります。
風 | 風が強い(8m/s以上)だとドローンの制御が効かなくなり、墜落のリスクがある |
気温 | 気温が下がりすぎるとバッテリーの性能が落ちて飛行時間が短くなる可能性がある |
雨 | 防水性能によっては雨によって精密機器が故障する可能性がある |
こういった制限があるので、ドローンの性能が飛躍的に向上するまでは、従来の災害対策を併用しながら臨機応変に対処しなければなりません。
操縦パイロットの育成が必要
ドローンによる災害活動を行うためには当然ながら機体を操縦するパイロットを育成しなければなりません。
操縦パイロットは現状不足している状態でもあるため、人材の確保は急務と言えるでしょう。
ただ飛ばせるだけでは不十分で、情報の収集や救助活動など、目的に応じた操縦スキルも求められます。
スキルが不十分なパイロットが災害活動を行うと、事故や落下による二次被害の発生リスクも考えられます。
災害発生時に動員できる人的リソースがないと、いくらドローンのテクノロジーが発展しても災害活動においては機能しないので、操縦パイロットの育成は非常に重要です。
まとめ
災害時のドローン活用について詳しく解説しました。
さまざまな活用を秘めており課題も残るドローンによる災害活動ではありますが、実際の災害現場に投入される事例も多くあり、今後さらに活用の幅が広がっていくでしょう。
災害の多い国であるだけに将来的にドローンによる災害活動は大きな意味を持っていくことは間違いありません。
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